AI絵師は『絵師』なのか

どうも、ソロメガネです。

 

私はアニメやマンガが大好きで、大学生のころは毎クール20作品くらい視聴してました。

 

なのでツイッターなんかの使い方も、基本的にはイラストレーターさんのアカウントをフォローして、公開されたイラストを見て癒されています。

 

ですが最近、イラストレーターさんのツイートが荒れたりしています。

 

理由は「AI絵師」の是非についてです。

 

問題になっているのは、

 

・他者が描いたイラストを作者に無断でAIに学習させること

・そのイラストを使って金銭的利益を得ること

 

などがあるみたいです。

 

最近、ツイッターピクシブで勝手に学習されないように、イラストを非公開にする流れもあるみたいです。

 

私のようにイラストを見るのが好きな人間には残念ですが、仕方ないとも思いますからね。

 

他にも

 

「AIイラストを投稿してるヤツは『絵師』を名乗るな」

「他作品を二次利用してる同人作家はいいのかよ」

「趣味で描いてる人もいるから、AIイラスト自体は否定しないでほしい」

「AIアンチの絵師がいるから、日本のAI技術は遅れるんだ」

 

みたいな感じで、色々な考えや意見が交錯しています。

 

なぜAI絵師が反感を買うのかについて、思うことをつらつら書いてみます。

 

 

 

・『絵師』について

 

そもそも『絵師』って言い方が独特ですよね。

 

たぶん、2ちゃんねるニコニコ動画なんかで生まれた言葉なのでしょうね。

 

イラストレーターって打ち込むより早いですし、何よりオタクっぽい言い回しじゃないですか、なんか。

 

でも『絵師』って名前には、そこにある種の敬意みたいなのもあると思うんですよね。

 

トップレベルの人は『神絵師』なんて言われますからね。

 

描いたイラストに感動したり魅力を感じる私みたいな人間からしたら、『絵師』という言葉にそんな思いがあります。

 

ホントは「萌え」って言いたいんですけどね。最近は死語らしいので控えますけど。

 

絵師と呼ばれる方々は、個人の表現したいことやこだわりを追及して、何年も練習して技術を身に着けている訳です。

 

そりゃあ『絵師』として評価されたり、絵師さんも自信や誇りがあるのも分かりますよね。

 

 

・絵師へのリスペクトが無い

 

AI絵師とは、イラスト生成AIアプリなどを使ってイラストを生成する人のことです。

 

まあそれはともかく、AIイラストって学習させてしまったら、あとは単語を打ち込むだけでイラスト生成できるらしいんですよね。

 

学習の素材となるのは、ネット上でダウンロードできてしまう人気のイラストな訳です。

 

そしてそれを「自分の作品」と言って堂々と公開し、『AI絵師』を自称する訳ですね。

 

自分で描きもせず、他人の絵を学習させたツールに描かせているのに、です。

 

もちろんAIツールを使いこなす努力はあろうとは思いますけどね。

 

絵師さんからしたら、不快に思う方も出てきますよね。

 

自分が苦労して技術を身に着けて生み出した作品を、機械に読み込ませた人が同じようなイラストをポンポン生成してる訳ですから。

 

勝手に学習素材にしないように呼び掛けても、応じてくれるかは分かりません。

 

中には「違法じゃないから別にいいだろ」なんて開き直る人もいますしね。

 

絵師の努力や苦労に対して敬意を抱けないところが、反感を買う要因な気がします。

 

 

・合法ならいいのか

 

著作権は作品や生成物にのみ発生するもので、絵柄や作風には発生しないという意見があります。

 

正直、この辺りは分かりません。私は司法関係の知識もないですし、権利関係の判例も詳しく知らないです。

 

ただ、モラルに欠ける行為だとは思うんですよね。

 

相手がやめてくれと言っているのに「犯罪じゃないからいいんだよ」と言って勝手に使うのはどうなんでしょう。

 

少なくとも、好きな絵師がこれでモチベーションが下がっている様子を見ると、やめて欲しいと思ってしまいます。

 

まだAIイラスト関連の法整備が足りないとはいえ、なんとも理不尽だとは思います。

 

 

AIの発展の意義

 

「絵師がAIイラストを批判する風潮を作るからAIの発展が遅れる。Winnyのときと同じだ」

 

みたいな意見をたまに目にします。

 

それって絵師などのクリエイターが被害に合いながら貢献してまで発展させるものなのですかね?

 

Winnyが問題だったのは違法アップロードが横行したから問題視されたからです。

 

国産のツールとして優れていた部分があり、結果としてGAFAに後れを取り、日本はビジネスチャンスを失いました。

 

でもAIイラスト生成ツールって既に世界中に配布されています。

 

より精度の高いツールを国産で作成したとかならともかく、AIイラストを規制したとしても発展の遅れにはならないんじゃないですかね。

 

少なくとも、絵師の方々の不利益が出ている事実への反論にはならないと思います。

 

 

・同人の二次利用はいいのか

 

この手のAIイラスト批判に対して、AI絵師の方々は反論として似たような文言を使います。

 

「有名作品のキャラを使って同人誌や同人ゲームで商売してるヤツも他人の権利を侵害してるだろ。自分の作品が同じ目にあったときだけ文句言う方がおかしい」

 

みたいな意味合いのものですね。

 

確かに、コミケなんかの同人誌って、そのとき流行ってるアニメの作品で作られるのが多いのは事実だと思います。

 

実際、企業側が見逃しているから許されてる部分があるのも事実なんですよね。

 

企業としても、人気のある絵師や作家を発掘できるメリットがあるので、損ばかりではないですし。

 

そういうグレーな部分があるままで、微妙なラインの上で成り立っているのが今の日本の同人業界だと思います。

 

ただ、この反論って「相手の痛いとこを突いてやる」くらいの意味合いしかないように思えます。

 

例えば、エヴァンゲリオンが流行ったからってエヴァの同人作品を作ろうとした場合、

 

同人作家の人は「自分で作品を作って」いるんですよね。

 

他作品の看板を借りているとしても、作品を作る手間や努力は自分でしている訳ですよ。

 

なら、「二次利用」を批判していいのは、元作品の権利者や、コンプライアンスを設けているサイトやイベント側だけだと思います。

 

AI絵師の方々は自分で生み出す部分があまりにも欠落していると思うんですよね。

 

 

・正しい使い方をしている人が被害を受けている

 

AIイラスト技術を部分的に使ったり、個人的に利用しているくらいなら全然問題ないと思います。

 

でも、「AIイラスト生成」そのものに嫌悪が広がり、AIを使って描かれた部分があるイラストまで批判されることもあるらしく、困っている人もいるそうです。

 

悪質な使い方をしている人は批判されるべきでしょうが、問題のない使い方は推奨されるべきですよね。

 

この辺の線引きも、いずれされて欲しいですよね。

 

便利に使えるなら、それが一番いいんですし。

 

 

・思ったこと

 

今回ブログを書こうと思ったきっかけなんですが「自分で生み出すことの意味」みたいなのを考えたからです。

 

たまたま目に入ったツイートだったのですが、絵師とAI絵師との違いとして、「即物性」を指摘されていました。

 

絵師の方々はコミケのスケブや、お絵かき配信のように、「その場で絵を描く」ことができるんですよね。

 

でもAI絵師の方は、「○○の絵を描いて」と言われたら、わざわざPCを立ち上げて、ツールに絵を描かせることになるんですよね。

 

これってすごいのはそのツールであって、操作してる人は何も描けない訳じゃないですか。

 

という趣旨の内容だった気がします。

 

絵師の方々がAI絵師を批判するとき、マンガのような形式でイラストを使って説明したり、問題点を指摘してる人がちらほらいます。

 

でもそれに対するAI絵師の方の反論は、文字での意見ばかりなんですよね。自分で描けないから。

 

なんとなく、この「自分で描けない。自分の技術ではない」というところに、AI絵師への反感の本質みたいなものがあるように感じたんですよ。

 

なんかうまく表現できないんですが、分かってもらえますかね。

 

まあ私がそう思ったからといって、当事者でもないので何もする気もないんですけどね。

 

AIイラスト生成ツールはうまく使えば便利なのは間違いないと思うんですよ。

 

だからこそ、絵師と呼ばれるべき人たちが迷惑を被らないように、うまく活用して欲しいです。